医師になるまでの流れ
「医師になりたい!」と思っても、具体的にどのような流れで働くことになるのか、まだわからない人も多いはずです。
ここでは、医師になるまでの流れについて順を追って説明するので、大体の年数ややるべきことを確認しておきましょう。
①医大・医学部受験の対策
日本で医師として働くためには、医大や医学部のある大学に入学する必要があります。
誰もが簡単に入学できるものではないので、医大や医学部受験のための対策を、まずはしっかりと行わなければいけません。
医学部受験のための勉強をせずに医学部に合格できる人はいないと思っておいてください。必ず専門的な対策が必要になってきます。
そのため、早い人では小学生や中学生から医学部受験のための対策や勉強などの準備をスタートさせています。医学部予備校に通う人もいますし、塾に通う人、独学で医学を目指す人など様々ですね。
②医大・医学部を受験
医大や医学部の受験に向けて勉強をし、いざ本番を迎えます。一つだけではなく、受験日が重なっていなければ複数の医大や医学部を受験することも可能です。
本命に受かるまで何浪もする人もいれば、現役合格を目指して複数の医学部を受験する人など、こちらも受験生によって様々ですね。
もし受験に失敗してしまったら、浪人という形で受験のための勉強を再開させます。
何度受験しても合格できずに諦める人も出てくるでしょう。そうならないよう、中学生など早い段階から医学部受験に特化した勉強を始めておくことが重要です。
③医大・医学部で6年間知識や技術を学ぶ
医大や医学部の受験を見事に突破したら、晴れて医学生となることができます。
一般的に大学生活はとても楽しそうで、中には大学生に対して遊んでいるイメージを持つ人もいるかもしれませんが、医大生や医学生はそのような暇はありません。
また、医大や医学部は一般的な大学とは異なり、最低でも6年間通い専門的な知識や技術を学ぶ必要があります。
受験勉強で学んだことを生かしながら、それ以上のことを医師になるための準備として学び続けなければならないのです。
④医大・医学部を卒業
医大や医学部に無事6年間通うことができ、在学中に行われる試験等に突破したら、やっと卒業を迎えます。
この在学中に行われる試験等も、一般的な大学や他の学部とは異なります。最終的には、医学部卒業のために作られた卒業試験に合格しなければなりません。
当然簡単に解けるようなものではなく、医大や医学部の受験以上に集中して対策や準備を行う必要が出てくるでしょう。
⑤医師国家試験を受験
医学部を卒業しても、まだ医師として認められたわけではありません。医師として活動するためには医師国家試験を受験し、それに合格する必要があります。
国家資格ということもありますし、人の命を預かる仕事に就くためのものでもあるので、当然基準に満たなければ不合格となってしまいます。
受験した全ての人が合格するわけではありませんから、最後まで気を抜かずに対策や準備をしておきましょう。
⑥医師免許取得
無事に医師国家試験に合格すると、医師免許を取得することになります。この段階で、一応は医師になることができるわけです。
医師免許を取得した医師は、医療行為を行うことが可能です。しかし、医師免許を持っているだけでは、まだまだできないことがたくさんあります。
すぐに手術や全ての検査・治療ができるわけではありません。あくまでも、医師としてのスタートを切った状態にすぎないのです。
⑦2年間の初期臨床研修(研修医)
医師免許を取得した人が、より多くの検査や治療を行うためには、初期臨床研修を受ける必要があります。
法律で決められた2年間の初期臨床研修をクリアしなければ、十分な医療行為を行うことができません。
この初期臨床研修を行う医師を「研修医」といいます。
初期臨床研修で特徴的なのは「スーパーローテーション」と呼ばれる制度です。
初期臨床研修そのものを指す言葉としても使われますが、これはつまり、「様々な分野や診療科目の知識を身につけよう」という取り組みのことです。
日本には数多くの診療科目がありますが、この中で内科、救急科、地域医療研修を必修とし、そのほかに外科や麻酔科、産婦人科、小児科、精神科の中から2つを選び、それぞれの科目で専門的な知識や技術を学びます。
次々とあらゆる科目をローテーションで学んでいくため、スーパーローテーションと呼ばれているわけですね。
研修医時代に勤める病院によって、このローテーションスケジュールは若干変化します。よく考えた上で、病院の選択を行いましょう。
⑧医師として正式に活動可能
2年間の初期臨床研修を経たあとは、いよいよ本格的に医師として活動していきます。
まずは、スーパーローテーションで経験した分野や診療科目の中から、自分が専門的に携わりたい分野を決定しましょう。
転科といい、後からでも診療科目を変更することは可能ですが、最初に何を選ぶのかが将来の医師人生を決めることが多々あります。
医師として活躍するために、将来性や自分の能力、適性なども見極めた上で診療科目を決定しなければいけません。
⑨3~4年後期臨床研修
今後学んでいきたい専門分野を決めたら、その診療科目でさらに高度な知識や技術を身につけていきます。これが後期臨床研修と呼ばれる段階です。
初期臨床研修を受けることは法律で決められていましたが、後期臨床研修は特に法律で決められたものではありません。そのため、期間も3〜4年と少し大雑把なものになっています。
しかし、将来的に専門医資格を取得したりなど、その分野により深く携わりたい場合には、後期臨床研修もしっかりと受けておいた方がいいでしょう。実際にほとんどの医師が、この後期臨床研修を受けています。
後期臨床研修は、前期臨床研修よりもさらに病院ごとに研修内容や体制などが異なります。将来につながる選択をする必要があるので、しっかりとリサーチしながら研修先を選ぶようにしてくださいね。
一人前の医者になるには10年以上の期間が必要
ここまで、医師になるための流れをざっとですが説明してきました。
医大や医学部を受験するための対策から始まり、医師として専門的な知識や技術を学ぶための後期臨床研修まで説明してきたわけですが、簡単ではない道のりについては理解できたかもしれませんね。
医大や医学部に現役で合格したとしても、医師免許を取得するまでには6年ほどかかります。
そこから2年間の初期臨床研修と3〜4年の後期臨床研修を受けるわけですから、医師として一人前になるには10年以上の年月がかかることになります。
もし現役で医学部に合格できず浪人してしまえば、さらに時間が必要になるでしょう。
医師として診療を行うには、それだけの時間をかけ確かな医療技術を磨いていかなければいけません。人の命を預かるということは、それだけ重いことなのです。